WHOの国際分類LCD−10のうつ病エピソードの診断基準

うつ病エピソード
下記の典型的な軽症、中等症または重症のうつ病エピソードでは、患者は気分沈滞および意欲減退、活動低下に罹患している。 生活を楽しみ、何かに興味を持ち、何かに集中する能力が障害され、最小限の努力をしただけでもあとでは著明な疲労感を生じるのが普通である。 通常は睡眠が障害され、食欲も減退する。自尊心と自信はほとんど常に低下し、軽症型でも何らかの罪責念慮または自己無価値感がしばしば存在する。 気分沈滞は来る日も来る日もほとんど変化せず、環境の変化にも反応せず、いわゆる“身体的”症状を伴い、物事への興味やうれしいという感じが失われ、 朝起きる普通の時間よりも数時間も早く目覚めてしまう。
抑うつ気分は朝が最悪である。著明な精神運動性減退、激越興奮、食欲喪失、体重減少、性欲喪失がある。 これらの症状が存在する数および重症度によって、うつ病エピソードを軽症、中等症または重症と特定することができる。

軽症うつ病エピソード
 通常は上記の症状の少なくとも2ないし3種類の症状が存在する。 通常、患者はこれらの症状で悩まされはするが、恐らくほとんどの活動は遂行が可能である。

中等症うつ病エピソード
 通常は上記の4種類以上が存在し、患者は日常的活動を続けることにおそらく多大の困難を感じる。

精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード
 このうつ病エピソードでは数種類の症状が著明にあり、患者を悩ませる。 特徴的に見られるのは、自尊心の喪失と、自己無価値感ないし罪責念慮である。自殺念慮と自殺企画は一般的に見られ、 通常いくつもの“身体的“症状が存在する。

精神病症状を伴う重症うつ病エピソード
 F32.2に記載されたうつ病エピソードがあるが、 さらに幻覚、妄想、精神運動性抑制または混迷が非常に重症なので通常の社会的活動が不可能になる。
自殺または脱水、飢餓による死の危険があることがある。幻覚と妄想は気分に調和していることもしていないこともある。